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今更ながらドヴォルザーク(その4)

ご接待で行った料亭で、〆のご飯ものに鮒ずしの茶漬けがあり、チャレンジしよと思ったら接待主と女将が寄ってたかって「いや~やめときはったほうが・・・」「あかん人はあかん言いますよってになぁ・・・」などと妨害する異例の事態に。「え~食いたい食いたい鮒ずし食いたい」と駄々こねて食ったら美味かったです。




シリーズ最終回、残りは簡単に済ませます。

このCDに収められた作品の中では最も早く(1882年)初演された序曲「わが家」も本当に良く出来た作品だと思います。一連の序曲同様、序奏と長大なコーダを伴うソナタ形式で書かれています。とくにAllegro vivace-Allegro con fuoco-Maestoso-Allegro vivaceと目まぐるしくテンポを変えながら盛り上がるコーダは秀逸。序奏の36小節からの管楽器によるアルカイックなファンファーレも非常に印象的。不覚にも感動してしまいました。

お次は交響曲第7番。初演は1885年でブラームスの第4番と同じ年。この作品、「フス教徒」と同じモチーフを使っているところが「民族主義的」ではありますが、私の苦手な泥臭さはなく、ブラームス張りの堅牢な構成と、内声の充実したオーケストラ書法がみごとだと思いました。私はこの作品を今回初めて聴きましたが、これなら錚々たる大指揮者たちが好んで取り上げるのも頷ける。寧ろ音楽的な充実という点では後の作品を凌駕しているのでは、と思いました。とはいえ、8番や9番に比べるとポピュラリティという点でははるかに劣るのが残念。このあたりが世評というものが良くわからない理由ですが、その一方でもし7番で彼が筆をおっていたら、まぁ音楽史の中ではブラームスの亜流で済まされていたかもしれないと思う。いくら泥臭かろうがなんだろうが、チェロコンや「新世界より」がなければドヴォルザークの作品がこれほどまでに残っていたかも疑問だろう。ついでながら1883年初演のブラームス第3交響曲との類似・親近性については周知のことのようなので割愛。ワーグナーに入れ揚げた時期の痕跡については第2楽章の第69~70小節の素晴らしい転調を挙げておこう。

最後に8番。これも以前に、お付き合いで行ったコンサートで聴いて、開始後5分と経たずに寝てしまった経験を書きましたが、さすが有名曲、FMなどでもあまり真面目に聴いた記憶はないのにかなりの部分聞き覚えていました。あいかわらず第一楽章の主題の泥臭さには辟易してしまいますが、第4楽章は思いのほか聴きごたえがあり、なかなかいいじゃないか、と思いました。

イシュトヴァン・ケルテスの演奏は大変優れていると思います。例えば「謝肉祭」の息もつかせぬ推進力と、それにこたえるLSOの技量は見事と言うほかないが、ゆるいところ、ゆるい作品はそれなりに流して「頑張りすぎない」ところが好ましく思いました。このハッタリの無さはケルテスの最大の美点であり、不慮の事故による夭折を惜しむ声が今もあるのも当然だと思いました。これまでこの人の演奏をレコードを買ってじっくりと聞いたのは、モーツァルトがフリーメーソンのために書いた合唱曲やカンタータ、葬送音楽をひとまとめにしたもののみ。その時も思ったけれど、音楽の等身大の姿がすっきりと立ち上り、それでいて熱いところは熱いこの指揮は私の好きなスタイルだと思いました。

こうしてドヴォルザークの音楽をすこしまとめて聴き、生演奏もきいて私のドヴォルザーク観が大きく変わったか、といえば、まぁそれほどのことでもない。良く知られている作品に少し先立つ時期に、思いの外良い作品が幾つかあることを知った、というのが正しいと思う。「大作曲家」というのはチェコ人がそう言うのならともかく、少々持ち上げすぎだと思います。クラシック入門編よばわりはちょっと言い過ぎだったと思うけれど、人生最後の日には間違っても聴かない自信がある(笑)。オーケストラを経済的に用いてプロフェッショナルなスコアを創るスキルについてもよく分り、オケの玄人筋にやたら人気があるのもわかったつもり。昔はピアノ書法が稚拙だと嗤っていたが、本質的にピアノを弾かない人間のほうがオケのスコアを書くには向いているような気もしました。だが結局のところ、これからもそんなにドヴォルザークを聴くことに多くの時間を割くことはないのだろうと思います(聴きたい曲が山ほどある中、選択と集中は大切なことだ)。あとは、一連の宗教曲(スターバト・マーテルやレクイエムなど)がとても良いという声があって、これはいつか聴いてみたいと思います。
(この項終わり)
by nekomatalistener | 2014-04-29 23:48 | CD・DVD試聴記
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