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プッチーニ 「西部の娘」 マゼール/ミラノ・スカラ座管弦楽団(その3)

また拾いネタだけどこれ好きww。
【原材料】
アンパンマン「小麦が高くて、力が出ない……。」



第1幕の後半になってようやくジョンソンが登場しますが、ジョンソンが気に入らないランスはこの優男がウィスキーをソーダで割って飲むのも癪にさわり、敵愾心をもってジョンソンをあれこれと穿鑿します。ミニーはランスをたしなめて、よそ者のジョンソンを迎え入れますが、ここでミニーとジョンソンが以前にも顔を会わせたことがあり、淡い恋心を抱いていたことが判ります。音楽もまるで印象派のような和声進行で、二人の歌を盛り上げていきます。ランスは更にジョンソンに絡み、男達も同調しようとするものの、ミニーのとりなしで大人しくなってしまいます。ミニーとジョンソンは男達に囃し立てられてワルツを踊ります。この男達の合唱を伴うワルツは単純極まりないものですがとても美しいもの。
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そこにアシュビー達が盗賊の一味カストロを捕まえて引っ立ててきます。カストロは自分達の首領ラミレス(ジョンソン)が無事なのを見てとると、ランスやアシュビーらの捜索を邪魔するためラミレスを裏切った振りをして、彼らに嘘のアジトを教えようと皆と酒場を出ていきます。ミニーはジョンソンを引き止め、先程のワルツの旋律に乗せておずおずとした会話が始まります。ここから第1幕の終わりまで、プッチーニが腕によりをかけて書いた長大な愛の二重唱が続きます。
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先程は単純極まりなかったワルツの旋律が、ここでは極上のオーケストレーションを伴って蕩ける様な甘い音楽となっています。ジョンソンの愛の歌はプッチーニお得意の変ト長調で2点変ロまで上り詰めますが、そこに盗賊一味の合図の口笛が聞えてきます。ニックが「強盗が近くをうろついている」と注意を促しに来るが、ジョンソンを信頼しているミニーは樽の中に鉱夫たちの金が入っており、自分は不幸な男達の為に命を掛けて金を守ると話します。実はその金こそジョンソン、つまりラメレスの目当てであった訳ですが、ミニーが心の底から鉱夫達の荷馬車のように惨めな人生に同情していることに彼は心を打たれます。ここは本当に感動的な歌ですが、二重唱の一部となっていてミニーの独立したアリアでないことは再三触れたとおり。
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別れを告げて出ていこうとするジョンソン。ミニーは自分の住む小屋にジョンソンを誘いながら、自分をつまらない女だと言って感極まって泣きます。ジョンソンは山小屋を訪れることを約束して出ていきます。ミニー夢うつつのまま幕。

ここで注意せねばならないことは、ジョンソンはミニーの純真さに心打たれてはいるけれども、結局盗賊仲間に金の在処を教えに出て行ったことです。ジョンソンはこの後ミニーの山小屋に現れますが、あくまでも彼の目当てはミニーの肉体であり、未だ行きずりの恋以上のものを求めている訳ではないということです。

第2幕はミニーの住む山小屋。女中のインディアン娘ウォークルの子守唄から始まります。この歌は「蝶々夫人」のスズキが歌う「イザナギイザナミ」を連想させます。プッチーニの頭の中にあるオリエンタリスムは所詮この程度のものか、と思わざるを得ません。二人は未婚のまま子供をもうけていますが、ミニーの薦めで結婚することになっています。もっとも、二人とも大して嬉しそうでもないところが面白いところ。
ミニーはウォークルに二人分の食事を言いつけ、晴れの衣裳を着てうきうきしています。ここでミニーの歌う歌は例によってアリアとは云えない短いものですが、ミニーの心が昂るにつれて聴く者の心まで切なくさせる素晴らしい旋律です。
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ジョンソンが来てぎこちない会話が始まります。ミニーは山の生活の喜びを歌いますが、愛に対する二人の考えは微妙に異なります。甘い旋律が現れ、この後大きな盛り上がりを見せますが、この旋律は流しのジェイクの歌や、ワルツの旋律同様、アメリカ民謡風の素朴なペンタトニックでありながら、プッチーニの手に掛ると二人の官能の限りを尽くす名旋律に変貌していきます。プッチーニの手腕の素晴らしさには驚嘆する他ありません。
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最初はキスを迫るジョンソンをいなすミニーですが、ウォークルを帰らせてから音楽もいよいよ只ならぬ気配を漂わせ、ミニーはついにジョンソンにキスを許します。ここからの二重唱はプッチーニの作品の中でも最も素晴らしいものの一つだと思います。というか、これほど激しい愛の二重唱は他に見あたらないほど。5/2拍子の大きくうねるオーケストラに始まり、4/2拍子と3/2拍子が激しく交替して、聴く者はもう翻弄されるのみ。
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最初の部分は前奏曲に現れたうねるような旋律、そしてついに先程の甘い旋律で二人のユニゾンとなります。
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音楽の狂おしい昂りが少し収まると、今度は第1幕のワルツの旋律がオーケストラに現れます。ミニーは気になっていたこと、ジョンソンとニーナとの関係について尋ねますが、ジョンソンは知らないと答えます。もともとミニーの体目当てと思われたジョンソンですが、ミニーのあまりの純粋さにキスをしただけで帰ろうとします。その時ランス達の声がするので、ミニーはジョンソンを隠します。ランスらはジョンソンが実はラミレスだったこと、ニーナはジョンソンの情婦であったことを話し、ミニーは動揺を隠して彼らを帰らせます。ただ、バーテンダーのニックだけは、ジョンソンの葉巻が落ちているのを見つけ、二人の関係を察しますが、知らぬふりをして一緒に帰っていきます。ミニーの激昂。続きは別稿にて。
(この項続く)
by nekomatalistener | 2012-04-15 21:42 | CD・DVD試聴記 | Comments(0)
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