<< ヴェルディ 「イル・トロヴァト... ヴェルディ 「イル・トロヴァト... >>

ヴェルディ 「イル・トロヴァトーレ」 カラヤン(その2)

あるブログで「護身用ターミネーター」という言葉を発見。
ひょっとして売っているのなら、ほしい。



カラヤンのトロヴァトーレを聴くと標榜しておきながら、先ほどセラフィン聴いてました(笑)。一応、規範となる演奏ですからね。データをつけておきましょう。

 マンリーコ・・・・・・・カルロ・ベルゴンツィ
 レオノーラ・・・・・・・アントニエッタ・ステッラ
 ルーナ伯爵・・・・・・・エットーレ・バスティアニーニ
 アズチェーナ・・・・・・フィオレンツァ・コッソット
 フェルランド・・・・・・イーヴォ・ヴィンコ
 ルイス・・・・・・・・・フランコ・リッチャルディ
 セラフィン指揮ミラノ・スカラ座o,cho(1962年7月録音)
 CD:DG00289 477 5662

錚々たる、といいますか。先日、カラヤンのディスクについて「カラスを聴くための録音」と書きましたが、これは裏を返せば、人様にお薦めする際のファーストチョイスとしてはちょっとどうだろうか、という事です。多分沢山の方が、カラスはともかく、カラヤンのトロヴァトーレって真正なイタリアオペラとしてどうなのよ?と思ってらっしゃるということは重々分かっております。
世評に従えば、ファーストチョイスはなんといってもセラフィン盤でしょうね。ええ、そうです、そうですとも。でもね、こんなこと言うと袋叩きに会いそうですが、コッソットは美声過ぎて邪悪さがないし、ベルゴンツィは松竹新喜劇みたいなくさい泣きが入るし、ステッラはカラスと比べたらもう(自主規制)だし。
私はカラヤンの、ファーストチョイスとはなり得なくとも、時に規範からはみ出てしまっても尚、ヴェルディの本質に迫ろうとする演奏を愛して止みません。その魅力をもう少し書き連ねてみたいと思います。

ところで、前回第一部のレオノーラのアリアについて、カバレッタの繰り返しが省略云々と書きましたが、セラフィン盤も同様で、しかもイネスのセリフはレオノーラと重なって歌われていました。まったくいい加減な記憶です。批判めいたことを書くときはよくよく調べてみなければなりませんね。スコアではどうなっているのか、ご存じの方の御教示をお待ちしております。

第2幕、というより第2部と称したほうが正確ですが、古い録音のせいもあるけれど冒頭のジプシーの合唱(アンヴィル・コーラス)が物凄く荒削りに歌われています。え、なに、素人さん?と思うほど。しかし一度聴いてしまうと、プロの磨きあげた歌い方では物足らなくなります。

 Vedi! Le fosche notturne spoglie
 De' cieli sveste l'immensa volta;
 Sembra una vedova che alfin si toglie
 I bruni panni ond'era involta. 
 All'opra! all'opra!
 Dàgli, martella.
 Chi del gitano i giorni abbella?
 La zingarella!
 Versami un tratto; lena e coraggio
 Il corpo e l'anima traggon dal bere.
 Oh guarda, guarda! del sole un raggio
 Brilla più vivido nel mio/tuo bicchiere! 
 All'opra, all'opra...
 Dàgli, martella...
 Chi del gitano i giorni abbella?
 La zingarella!

 見よ!大空が闇夜の帳を
 払いのけるのを!
 まるで黒い喪服を脱ぎすてる
 未亡人みたいに。
 働け!働け!さあ!金槌を!
 ジプシーの日々を明るくするものはなんだ?
 そりゃジプシーの女さ!
 酒をくれ。酒は体に強さを、
 心に勇気を与えてくれるのだ。
 おお見るがいい!太陽の光に
 俺の/お前のグラスが輝くのを!
 働け!働け!
 ジプシーの日々を明るくするものはなんだ?
 そりゃジプシーの女さ!

 第3部の兵士の合唱もそうですが、これならオペラがはねた後、食事をして酔っぱらったイタリアのおじさん達も機嫌よく歌いたくなるというもの。ヴェルディの合唱が本当にプロでなければ歌えなくなるのはもう少し後、「仮面舞踏会」や「ドン・カルロ」の対位法的・立体的な合唱をヴェルディが書くようになってからです。この荒さは後年のカラヤンなら許さないかもしれませんが、これはこれで1956年当時のカラヤンの、センスの賜物と思いたい。
続くアズチェーナとマンリーコのやり取り、バルビエリのアズチェーナが少し物足りません。それなりにドスも効いてるのですが、いかんせんカラスの後に登場して割を喰った感じです。ステファノもおとなしめ。こちらはまぁ母親の前で神妙に話を聞く立場なので仕方がないか。
終わり近く、伯爵の、従者達の合唱を交えたアリアのカバレッタ Per me, ora fatale, i tuoi momenti affretta の自在なテンポ、スカラのつわものどもを引きずりまわすカラヤンの剛腕は圧巻です。
そして第2部フィナーレ、またもやカラスの登場で俄然音楽が引き締まります。レオノーラのカヴァティーナの、Può fra gli eletti al mio perduto beneというところのカラス独特の含み声に鳥肌が立つ思いです。ここからはもう頭を垂れて音楽を聞くのみ。私は、無理だらけの絵空事のお話が、すぐれた歌手と指揮者によって、血の流れている真実に昇華していくこの瞬間がたまらなく好きです。
(この項続く)
by nekomatalistener | 2011-09-11 00:37 | CD・DVD試聴記 | Comments(3)
Commented by Lou at 2011-09-12 11:55 x
カラスを聴くと、他の歌手では物足りなくなる・・・
ノルマもそうですね。
イルトロヴァトーレは、かつてエアチェックしたカセット(年がばれる!!)でカラスを聴いていたのですが、
もう長いこと聴いておらず・・
アマゾンで探してみたところ、1000円ちょっとで入手できるみたいなので注文してしまいました。
http://www.amazon.co.jp/Trovatore-Verdi/dp/B00003Q5B9/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1315795855&sr=8-1
Commented by Lou at 2011-09-12 12:07 x
連続で、失礼!
よく見たら、このCD,カラヤン版じゃないんですね。
シミオナートがアズチェーナ(O_O)
カラヤン版も見つけましたが、なんだか面白そうなので、
そのままこのCDの到着を待つことにします。
Commented by nekomatalistener at 2011-09-12 21:13
シミオナートのアズチェーナですか、面白そうですね。また感想お聞かせください。
名前
URL
削除用パスワード
<< ヴェルディ 「イル・トロヴァト... ヴェルディ 「イル・トロヴァト... >>