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きのこのつぎの音楽 next mushroom promotion

トリフォノフの記事を先輩夫婦が顔本や囀りで拡散してくれたらアクセス数が倍増しとる。SNSおそるべし。




三連休の中日、昼から友人が出演している宝塚交響楽団の定期で、アマチュアとは思えない素晴らしいプロコフィエフの交響曲第5番を聴き、夜はカフェ・モンタージュというダブルヘッダー。なかなか充実した一日でごさいました。

  2014年10月12日@カフェ・モンタージュ
  「きのこのつぎの音楽」

    細川俊夫: エディ(2009) Cl
    ナンカロウ: ソナチネ(1935) Pf
    細川俊夫: Vertical Time Study Ⅰ(1992) Cl,Vc,Pf
    福井とも子: Schlaglicht(2002) Vn,Pf
     (休憩)
    徳永崇: 陰影のある刺繍の入れ方(2009) Vn,Vc
    J.エストラーダ: "Yuunohui'Ome"(1983) Va
    川上統: ラナ・ラナンキュラス(2011) Cl,Vn,Va,Pf
    細川俊夫: 時の花(2008) Cl,Vn,Vc,Pf

    next mushroom promotion
    クラリネット: 上田希
    ピアノ: 大宅さおり
    ヴァイオリン: 辺見康孝
    ヴィオラ: 多井千洋
    チェロ: 大西泰徳

next mushroom promotionという現代音楽を専門とするユニットは初めて聴きましたが、なかなかの凄腕集団。「きのこ」といえばジョン・ケージ。したがってケージ以降の音楽をプロモートするという意味だと思いますが、ケージといっても「4’33”」ではなくて「フリーマン・エチュード」の方向か。繊細極まりない細川作品とノイズ系上等みたいな作品が並んでいて刺激的なプログラムでした。
こういった作品についてはどうしても印象批評みたいなレベルになってしまいますが、自分自身の備忘ということで飾らずに書いておきます。
細川俊夫のさまざまな楽器の組み合わせによる3作品は、いずれも最弱音から爆発に至る張りつめた緊張感が凄まじい。特殊奏法による倍音や種々のノイズも含めてとても美しい響きで、生演奏を聴きに行った甲斐があるというもの。いまやこの業界で最も売れている一人だろうと思いますが、確かにエスタブリッシュメントとしての風格さえ感じます(それが音楽として良いことなのかどうかは別だが)。
ナンカロウはこの日の演目の中ではもっとも古い作品ということになりますが、なるほど確かにバルトーク風の両端楽章がジャズ風の緩徐楽章を挿む古典的な造りの音楽。自動ピアノで有名なナンカロウの原点という意味で興味深い作品です。
福井とも子のSchlaglicht、さきほどケージの「フリーマン・エチュード」に言及しましたが、それと共通する激烈さが特徴的。内部奏法や掌のクラスターを含むピアノ・パートも暴力的でカタルシスに富んでいます。この人、next mushroom promotionのディレクターでもあるとのことですが、なかなかあっぱれな肉食系の方のようです。
徳永崇の作品は私にはこの日一番の収穫という感じがしました。ヴァイオリンとチェロの無窮動風アルペジオが中心の音楽ですが、現代音楽のイディオムでこんなに楽しい曲が書けるのか、と聴いていて驚いたほど。作曲家がどういうつもりで書いたかは知りませんが、この機知に富む楽しさは貴重。
エストラーダのヴィオラ独奏作品は、フラウタンドやスル・ポンティチェロのトレモロが延々と続くノイズ系作品。大変な迫力で聴きごたえがあります。ほとんど譜めくり可能な休止がないので、譜面台を3つならべて楽譜のコピーをずらっと並べて弾いてましたがこんなのを見るのも初めて。
川上統も実に面白い作品。カフェ・モンタージュの店主の解説によると、ラナンキュラスは花の名前だそうで、背後にカエルのお話があり、カエルが疲れると口からラナンキュラスを出したり、巨大ラナンキュラスからカエルがいっぱい出てきたり・・・・ほとんど理解不能(笑)。でも確かにちょっと人を食ったような音楽。こういう作品をまとめて聴いてみると、現代音楽が不毛であるかのようにのたまう人達というのは実際にこういったコンサートを聴いたことがないのだろうな、と思います。
台風が近づいているというのによりによって現代モノのプログラム、さぞかしガラガラだろうと思いきや、そこそこ聴衆が集まっていたのには驚きました。さすがはあたらしもんずきの京都人。
(この項終り)
by nekomatalistener | 2014-10-14 22:59 | 演奏会レビュー | Comments(0)
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