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新国立劇場オペラ研修所公演 ヒンデミット「カルディヤック」

イオンがピーコック買収。でもピーコックって、英語のネイティブにしたら「おしっこち○こ」みたいに聞えないのだろうか。とっても謎。ピーはおしっこじゃなくて豆だろうって説もあるが、ならば「まめち○こ」かって言えばどっちもどっち。




一年ぶりのオペラ研修所公演。いつものことながら珍しいオペラを優れた演奏で、しかも格安で聴けるのがとてもありがたい。

   2013年3月3日
   カルディヤック: 村松恒矢(Br)
   その娘: 吉田和夏(Sp)
   士官: 日浦眞矩(T)
   貴婦人: 立川清子(Sp)
   騎士: 伊藤達人(T)
   金商人: 大塚博章(Bs)
   衛兵隊長: 大久保光哉(Br)
   指揮: 高橋直史
   演出: 三浦安浩
   合唱: 栗友会合唱団
   管弦楽: トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ

まず演出のことについて。幕明けの無声映画風の映像処理が素晴らしい。1920年の無声映画「カリガリ博士」を思わせるような演出、このオペラがまさに表現主義の時代に書かれたことを雄弁に提示していました。
三浦安浩の演出は、去年ラヴェルの「スペインの時」とツェムリンスキーの「フィレンツェの悲劇」の時にちょっと批判めいたことを書きましたが、今回は前みたいなどぎつい性的表現は抑えられていて大変良かったと思います。全体に闇を強調するモノクロームな色彩がスタイリッシュで知的な感じがします。コンパクトな回り舞台の仕掛けも秀逸でした。ただ、一つ二つ疑問もありました。3人ばかり黙役が出てきますが、私にはどうも意味不明で見た目にも煩わしく、演出家の言うようなドッペルゲンガーの恐怖は感じられませんでした。また、カルディヤックとその娘とのやり取りの中でボールの受け渡しの場面が出てきますが、これもこの演出家の独りよがりな解釈という気がして、なくもがなと思いました。さらに、騎士が貴婦人に贈るカルディヤックの手になる豪奢な金細工だが、これがなぜかストリッパーのおねえちゃんのバタフライ・パンツみたいで、とても下品。露悪的な表現を狙ったのかもしれませんが、どうもこういう所がこの演出家とは反りが合いません。

歌手では仕官を歌った日浦眞矩がとても良かったと思います。ヒンデミットの書いた音楽はワーグナーばりにドラマティックで声量も必要、しかも知的で乾いた叙情表現も必要、という難しい役どころかと思いますが素晴らしい歌唱だったのではないでしょうか。最後ちょっとスタミナ切れのようでしたが、彼の名前は記憶に留めておきたいと思います。
カルディヤックの娘を歌った吉田和夏は昨年「スペインの時」のコンセプシオンを聴いていますが、その時のツンデレとは大違いで今回はいかにも若い清純な娘といった歌い方、芳醇さは感じられませんがこの役なら「あり」だろうと思いました。
貴婦人の立川清子はグラマラスな歌い方が役にぴったりですが、立ち姿があまり貴婦人といった感じがしないのがちょっと残念。騎士の伊藤達人は昨年「フィレンツェの悲劇」でグイドを歌っていた人。そのグイド役もそうだが、こちらの騎士役もハイテノールの至難なパートを果敢に歌っていました。金商人の大塚博章はまずまず、衛兵隊長の大久保光哉はちょっと厳しかったように思います(一ヶ所派手にドイツ語をトチッてたような気が・・・)。
肝心のカルディヤック役の村松恒矢は健闘だと思いましたが、もうすこし高望みしたくなるところ。予習でフィッシャー=ディースカウなんか聴いたのが失敗か(笑)。しかしこれだけの至難な役なのにたったの二日の公演で終わりというのも切ないなぁ。場数を踏めばまだまだ良くなるのに、と思います。

トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズは(多分)初めて聴いたが素晴らしい演奏だったと思います。演奏は大変だろうと思うが、あまり官能的な要素がない分、テクニックと勢いでなんとかなるのかも知れない(そういう意味ではとても日本人向けw)。それにしても大熱演だったと思います。
今回の公演でなによりも印象的だったのはヒンデミットの音楽自体が大変な出来栄えだということ。今回が日本初演だとのことだが、ヨーロッパではときどき舞台に掛けられているようです。ひと様のブログも少し覗いてみましたが概ね好評。没後50年ということもあって、器楽以外の作品にも日があたってほしいと思います。ちなみに「カルディヤック」が気に入っていろいろCDを漁ってみようとしましたが、あまり手に入りません。とりあえず「画家マティス」と「聖女スザンナ」を買いましたので、これから聴いてみようと思います。
by nekomatalistener | 2013-03-04 23:56 | 演奏会レビュー | Comments(0)
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